
「極真空手、思い出を挙げればキリがない」の第39回目。今回も、ボクがこの目で見た中で誰が何と言おうと極真空手史上最高・最強の空手家と信じて疑わない数見肇についての思い出を振り返ってみたい。
このコラムを書いている時に突然思い出したのだが、『第6回全世界大会』開催の年の1年前に、ボクは『ゴング格闘技』で数見と当時大人気だったキックボクサー立嶋篤史との対談を組んだ。二人ともまだ20代前半で同い年、格闘技界を引っ張る若い力同士ということで、ぜひ実現させたい企画だった。
極真の方の許可を取るのが難しいかなと考えていたのだが、あっさりとOKが取れて拍子抜けしたのを覚えている。ところが、数見が年頭行事などで忙しく、なかなか2人の日程が合わなかったのだ。最終的には、たしか立嶋の試合1週間前くらいに実現したと記憶している。
立嶋は試合が近づくと機嫌が悪くなり、ほとんど喋らなくなる。もちろん、試合2週間前から取材はNGだった。ところが、今回はなぜか受けてくれたので、ボクはとても感激した。立嶋に理由を聞くと、「極真は空手しかやらないから好きなんですよ」とのこと。当時はまだ、K−1に参戦はしていなかったからだった。
対談は無口な数見を立嶋がリードする形で行われた。立嶋は上機嫌で、とても試合前とは思えないほど饒舌に対談を盛り上げてくれたのだ。数見も立嶋からの質問を受けて、徐々に打ち解けてきたのか対談はスムーズに進んだ。
対談終了後、立嶋が「僕の試合を見たことがありますか?」と数見に聞いた。後年はボクシングが好きだと言っていた数見だが、この頃は空手一直線だったらしく、他の格闘技を全く見たことがない、と答えた。すると、立嶋が1週間後の試合に招待したいと言い出したのだ。数見も「ぜひ」と答え、対談は思わぬ収穫を生んだ。
そして1週間後、後楽園ホールで立嶋の試合が行われ、数見はリングサイド最前列の席にスーツ姿で座っていた。実はこの時の忘れられないエピソードがある……