
「極真空手、思い出を挙げればキリがない」の第37回目。今回も、ボクがこの目で見た中で誰が何と言おうと極真空手史上最高・最強の空手家と信じて疑わない数見肇についての思い出を振り返ってみたい。
『第6回全世界空手道選手権大会』の準々決勝戦、数見はブラジル・ナンバー2のグラウベ・フェイトーザと対峙した。ナンバー2とは言ったものの、ここまでに敗れ去った日本人選手の中からは「グラウベはヤバイ。フィリォより強いのではないか」との声もちらほらと上がっていたほどだった。
僕は2階の記者席で試合を見ていたのだが、この時の観客席の盛り上がり方は凄かった。グラウベの膝蹴りとパンチで数見がガクッとなると、悲鳴のような声が上がり、ほとんどの人が身を乗り出して勝負の行方を見守っていたのである。数見がここまで試合中にバランスを崩されたのもかなり珍しいのではないか。
しかし、突きで追い込まれながらも、その後、日本人が何人も餌食になっている上段膝蹴りを全部かわしているのはさすが。下がりながらもしっかりと右下段廻し蹴りを強く当てていくタイミングも凄くよかった。これで絶対に勝てるという信念を感じさせるような下段だった。
本戦の最後の方でしっかり下段を効かせて、判定は引き分け。延長戦に入ると下段のラッシュで技ありを奪い、グラウベを戦意喪失させて合わせ一本勝ちを飾った。この時の大歓声は大会全体を通してもハイライトだったと思う。また、勝利のキーポイントとなったのは、下段廻し蹴りの前に放った数見の得意技、右ストレートによるみぞおちあたりへの攻撃だったと思う。この一発でグラウベの動きを止め、下段へつないでいったのだ。
この一戦は僕が見た中でも、極真史上ベスト10に入るくらいの名勝負だったと思う。追い込まれながらも数見の表情が全く変わらなかったのもよかった。
そして、準決勝フィリォ戦だが……