
「極真空手、思い出を挙げればキリがない」の第34回目。今回も、ボクがこの目で見た中で誰が何と言おうと極真空手史上最高・最強の空手家と信じて疑わない数見肇についての思い出を振り返ってみたい。
数見の試合を見たことがある人はご存知だろうが、彼は左右に身体をスッスッと細かく動かす。これは相手の突きを正面からもらわないためであり、加えて前腕などで軽く相手の手を弾いて直接的な打撃をもらわないようにするのだ。よく極真で見られるような真正面からの打ち合いは、数見の試合では全くない。これは自分の間合いを数見が意識しているからであろう。
相手が詰めてきたら、身体を左右にスッスッと捻りながら下がる場面を覚えている人も多いと思う。よくありがちなお互いの胸を合わせてわき腹を叩き合ったり、掴んでいないことをアピールするために両手を上げるシーンなどが、数見の試合では見られないのは彼がしっかりと自分の間合いを把握し、保っているためである。それだけでなく、相手にもそれをさせないところが数見の凄いところなのだ。
それと特徴的なのは「水すましのような」と称された独特な足さばき。全日本大会初期の頃は数見も軽くステップを踏んでいたが、徐々にあの形に変わっていった。
これらの技術は、もちろん廣重師範(当時・城南支部長)の指導の影響が大きいのだが、数見の根本にある空手観が強く影響している。それは……