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 2009.8.19  「振り返れば、やっぱり格闘技」 第54回 by熊久保英幸



「立嶋篤史、思い出を挙げればキリがない」の第11回目。僕の20年間にわたる記者生活の中で、最も印象深いキックボクサーである立嶋篤史のことを書いていきたい。90年代を疾走した本物のヒーローである。

 1994年の全日本キック年間シリーズタイトルは「ディスティニー〜運命との闘い」だった。前田憲作へのリベンジを達成した立嶋が、主役となって海外の強豪と運命の闘いを繰り広げていくというコンセプトだった。

 しかし、シリーズ名が表していたのは、4月23日に行われた立嶋VSマイケル・リューファットの一戦のみだったのかもしれない。打倒ムエタイ路線を突き進む立嶋に、オランダ人選手を当ててみたいという要望は以前から全日本キック内部、マスコミの間でもあったのだ。

 当時のオランダは「格闘技王国」と呼ばれ、まだ見ぬ強豪キックボクサーがうじゃうじゃといたのである。キックボクシングの世界三強を挙げれば、タイ、日本、そしてオランダという時代だった。今でもオランダ人はK-1でも圧倒的な強さを誇っているが、当時のオランダの強さのイメージは現在の比ではなかっただろう。

 しかし、問題がひとつあった。世界で最も平均体格がデカいオランダ人ゆえに、軽量級の選手がほとんどいなかったのだ。最軽量級がライト級という、とんでもない国なのである。ラモン・デッカーは元々フェザー級で試合をしていたが、あっという間に大きくなってミドル級まで行ってしまったくらいだ。

 全くいないわけでもないのだが、何しろ層が薄いためライト級以上の我々がイメージしているようなオランダ人キックボクサーの強さを持つ選手がフェザー級にはいないらしい。唯一、名前が挙がったのがリューファットだった。

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