
1993年6月18〜20日に開催された『第10回全日本ウェイト制空手道選手権大会』は、前回書いたように飯泉の胴廻し回転蹴り旋風が吹き荒れた大会だったが、重量級には八巻建志、黒澤浩樹という当時の極真を代表するスターが参戦した。
以前にも書いたが、秋の無差別で優勝を目指す有力選手はそれ一本に絞り、ウェイト制には出ないのが当時の常識だった。なぜ有力選手の2人が出たかというと、スタイルを変えたためそれを実戦で試してみたいという理由だったと思う。
八巻はそれこそ「根本から組手を作り直す」とのテーマで、構え方から変えていた。大きな体を小さく丸め、以前のように両手を開いてどっしりと構えるのではなく、腰を落としてガードを前に持ってきて中心軸を守るような構え方である。攻撃も突きと下段廻し蹴りが中心で、上段への大技はほとんど出さなかった。
それだけでなく、八巻といえば筋骨隆々のもの凄い体をしていたのだが、この時期はウェイトをやめて減量もして、体もかなり細くなっていた。構えから、体つきから、普段の生活から全て変えていたのである。
黒澤は「パンチを強化した」とのことで、それまでの下段廻し蹴り一辺倒になりがちだったスタイルから、突きに比重を置いた闘い方に変えていた。たしかにその突きは重く、ズボッズボッと相手の腹部にめり込むような突きに変わっていた。