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 2011.10.19  「振り返れば、やっぱり格闘技」 第106回 by熊久保英幸
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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第6回。今回は伝説のムエタイ戦士「ダイヤモンドの前蹴り」「ムエタイ9冠王」チャモアペットが、シュートボクシングの村浜武洋と対戦した時のエピソード。

 立嶋篤史との試合から約1年後、チャモアペット3度目の来日が決定した。1996年1月27日、横浜文化体育館で開催されたシュートボクシング(以下SB)の大会『GROUND ZERO YOKOHAMA』にて、当時売り出し中だった村浜との対戦が発表されたのだ。

 この試合は格闘技ファンの間でかなり話題になった。村浜は軽量級離れしたハードパンチャーでKOを量産し、当時オランダ軽量級でマイケル・リューファットに代わって最強と目されていたボルン・ベラーニをKO。立嶋に挑戦状を叩きつけていたのだ。

 当時はフェザー級の層が非常に厚く、各団体のエース格がフェザー級に集中していたため、誰が最強なのかはファンが注目するところだった。人気面で言えば立嶋が圧倒的だったのだが、その立嶋に噛み付いた村浜がスポットライトを浴びていたのである。

 しかし、団体エース同士の対決はなかなか実現しないものだ。そこでSBが計画したのは、立嶋に圧勝したチャモアペットと村浜を戦わせようということだった。もし村浜がチャモアペットに勝てば、戦わずして村浜がフェザー級ナンバーワンだと誰もが認めざるをえない。そして、その可能性は十分にあった。村浜のパンチが当たれば、チャモアペットも倒れるだろう、と思われた。

 試合当日。村浜vsチャモアペットのメインイベントが近付いてくるにつれて、ボクは妙な気分になっていた。村浜に勝って欲しいとは思うのだが、もしチャモアペットが負けたら嫌だな、と2つの感情がぶつかり合っていたのである。「もしかしたら本当に村浜が倒してしまうのでは……」と思うと、ドキドキとしてきたのだが、それはいい意味でのドキドキではなかった。とにかく、言葉にしがたい感情だった。

 試合が始まると、予想通りに村浜がチャモアペットを追い込んだ。村浜のパンチが当たるたびに、場内が大きく沸く。得意の首相撲に持ち込もうとしたチャモアペットの顔面(アゴではない)に村浜のアッパーが炸裂すると、一際大きな歓声が起こった。村浜が勝つ、ムエタイ9冠王が負ける。そういう流れだった。

 だが、チャモアペットは…………

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